大乗仏教の柱としての第二の転法輪

一、はじめに

「大乗仏教の柱としての第二の転法輪」というテーマでお話いたします。大乗仏教の思想というのは、これからお話しするものばかりではなくて、たくさんの思想があります。それぞれの経典がそれぞれの思想というのを持っていますが、大乗仏教の典籍というのは2000とか3000近い文献があります。これを大乗仏教論としてひとまとめにするのはそもそも無理なんです。これからお話しすることは、そこの中に貫く一つの共通した思想的な柱、この第二の転法輪というのと、次に授記というお話をいたします。こういうようなお話は、主な大乗経典に共通する思想です。それを取り上げて、大乗仏教論のスケッチとしたいと思います。

二、大乗仏教の起源—大乗仏教運動

大乗仏教は、ブッダが亡くなってから四百〜五百年たった紀元前後に、厳密にいいますと紀元前一世紀くらいまでたどれますけれども、インドで起こった新しい仏教運動です。
そのころ、北西インドではクシャン朝、カニシカ王なんかが有名ですよね。そして、南インドではアーンドラ王朝。これは、南インドで400年ぐらい続く、非常に強固な王朝です。クシャン朝は、月氏という中央アジアから今のアフガニスタン、パキスタン、そしてインドにまで侵入して北西インドを支配した王朝です。ですから、南北に比較的、政治的な安定時代に入っていたと。この安定した時代になって、仏教がインドに広まっていったということになります。広まるといっても、それ以前に、もちろんブッダの時代ですから、紀元前500年ぐらいからあるわけです。この時代は、ほかの仏教以外の宗教も同様なんですけれども、大きな変化がインドの中で発達するようになります。その一つとして、従来の伝統仏教では、釈迦牟尼仏、シャキャムニブッダを崇拝するという信仰ですけれども。しかし周りを見ても、多くの仏教の崇拝対象というのがありますよね。阿弥陀仏とか、大日仏とか。薬師仏とか、さまざまなブッダ、あるいは菩薩があるように、これは大乗においてのみ信仰される諸仏、諸菩薩です。

※上記は東京国際仏教塾第33期スクーリングにおいての辺章悟先生の講義の冒頭部分です。
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