真理を伝える道

お釈迦様は、35歳のときにブッダガヤの尼連禅河(にれんぜが)のほとり、菩提樹の下で悟りを開かれました。

それまで取り組んでいた苦行では解脱に達することはできないと気づかれ、苦行を捨て、身を清めて7日間禅定に入られました。そして、明けの明星が輝く朝に悟りを開かれたといわれています。お釈迦様は、それから四十九日にわたって場所を変えながら、悟りを味わわれました。

その間に、自分の悟った真理は、言葉にできるものではなく、人間の思いが及ばないものであり、自分を中心に物事を考える世間の人々は決して理解しないだろうから、それを伝えようとすることは無駄であると考えられたそうです。そして、そのまま一人で安住を味わいながら涅槃に入ろう、すなわち死んでいこうと思われました。

そこにインドにおける世界の最高神である梵天(ブラフマー)が現れて、この世で苦しんでいる人たちのために何とか真の教えを弘めてほしい、必ずそれに目覚める人がいるはずであると説得をされ、お釈迦様は他の人にも真理を伝える道を選ばれました。

このエピソードを「梵天勧請(ぼんてんかんじょう)」といい、真理を自分だけにとどめず、生きとし生けるもの全てが救われる道を求めていくことが仏教の基本的な考え方であることが示されています。大乗仏教が大切にする慈悲の精神がこの中でも表されています。

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